電力事情

「発送電分離」には4つの方式がある?日本で実施される予定の「法的分離」は、どういったメリットがあるの?

電力自由化によって発送電分離という言葉をよく聞くようになりました。この発送電分離には4つの方式があり、日本では法的分離という方式が予定されています。では法的分離にはどういうメリットがあるのでしょうか。

・発送電分離の方式について
発送電分離に方式には日本が採用する法的分離の他に、会計分離、機能分離、所有権分離の4つがあります。

まず法的分離ですがこれは電力会社の送配電部門を電力会社から切り離し、別会社にして中立的な立場にするという方式になっています。海外の電力自由化をした国でも採用されることが多く、一般的な分離方式と言えるかもしれません。会計分離は送配電部門と他部門の会計を切り離す方式、機能分離は送配電部門の運用方法や整備計画などを第三者機関で行う方式、所有権分離は送配電部門を完全な別会社にして資本関係も完全に切り離す方式です。

このように発送電分離と言っても色々な方式があり、方式によって送配電部門がどう扱われるかが大きく変わってきます。日本では法的分離によって送配電部門を別会社にするわけです。

・法的分離のメリット
日本は法的分離を選ぶわけですがそれには理由があるはずです。法的分離のメリットは他の方式と比較して送配電設備を維持しやすく、コストの透明性も高いことです。

送配電部門を切り離して別会社にするといっても電力会社のグループ会社のような存在ですから送配電設備はそのまま使えばいいですし、余計なコストもかかりません。中立性を確保しつつ最低限のコストで分離を行える方式で非常に効率が良いのです。

インバランスという需要と供給の調整もしやすく、スムーズに電力自由化を実現するにはとても優れています。だからこそ海外でも法的分離を採用するケースが多いのでしょう。

・デメリットは?
では法的分離のデメリットはないのでしょうか。先程も紹介しましたが送配電部門を切り離すものの電力会社のグループ会社ですから中立性が完全に確保されているかというと疑問が残ります。

本当の意味で中立性を確立するためには完全別会社にする必要があるわけですが法的分離ではそこまでできないのです。これがデメリットになるでしょうか。

ただ、電力自由化による発送電分離を行えば新しい企業が電力事業に参入できるようになり、これは私達にとって電気料金の値下げや新しいサービスの登場などメリットが生まれることを意味しています。

どんなものにもメリットとデメリットがありますが法的分離に関してはメリットの方が大きいと考えていいでしょう。

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