電力自由化のデメリットは、電力会社が「投資を控える」こと
これまでの電力会社
競争なし
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電力の安定供給
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長期的・大規模な設備投資を積極的に推進!
これからの電力会社
企業間競争が発生!
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短期的な利益の追求
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長期的・大規模な設備投資を控える?
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【電力インフラが脆弱に 過疎地など地方の生活環境の低下】
電力自由化はすべての人にとっていいことばかりじゃない
電力会社が投資を控えるリスクもあり
自由化によって生じると考えられるデメリットの1つは、電力会社がこれまでのような発電所などへの長期的な投資を控えるようになるのではないかということです。
これはやや大きな視点なのですが、電力自由化によって電力会社同士の競争が激しくなると、電力会社はこれまで以上に利益を上げ続けることを重視せざるをえなくなります。
その結果、電力会社はどうしても短期的な利益を追求することになり、長期的な投資、大規模な投資を控える可能性があるのです。
いわゆる大規模な発電所を造るというのは、ある意味で非常に大きなリスクをとる必要があるからです。
このように電力会社が投資を控えると、日本全体の電力のインフラ自体が脆弱になってしまう危険性が出てきますし、投資対効果の低い地方、特に過疎地や離島などに投資しようという気運が低下し、そうした地域の生活環境の維持・工場がなおざりになってしまう可能性があります。
これまで日本の電力会社は地域独占を許されている見返りに、きちんと発電、配電、送電などに設備を投資して、過疎地など経営的にはあまり儲からない地域もしっかりケアする姿勢で事業を行ってきました。
しかし今後は「そんなことは言っていられない」ということにもなりかねません。
JRなどの鉄道でいえば、地方の在来線が赤字路線化してどんどん廃線になっていくようなイメージです。
同様のkとが起こると、過疎地に住んでいる人には電力が安定供給されなくなったり、先に述べたような多種多様な新しい料金プランも提供されず、場合によっては電気料金も今までより高くなってしまうかもしれません。
そ考えると、今回の電力自由化は都市部の人は大歓迎かもしれませんが、地方の一部の人にとっては「前のほうがよかったね」ということにもなりかねません。
まさに鉄道などの交通機関の問題と一緒で、都市部はどんどんサービスがよくなり便利になっていくけれど、過疎地はどんどん生活が不便になっていくということも十分考えられます。
こうしたことは、既に電力自由化が進んでいる海外でも起こっており、今後は電力会社各社が利益の追求だけでなく、社会全体、特に地方の人々に対するサービス工場や、損先にある便利で豊かな生活を、企業の社会的責任として真剣に考えていく必要があります。
自由化により、倒産する会社も現れる?
電力自由化により生じるデメリットがもう一つあります。
それは、新規参入会社の乱立と同時に、倒産する電力会社が数多出てくるうという可能性です。
これは海外で実際に起こっているのですが、例えばある企業が「我が社は、いままでの半額で電気を提供します」と言って鳴り物入りで新規参入してきて、一気に顧客を獲得します。
ところが実際には顧客対応などの作業が追いつかなかったり、資金繰りが追いつかなかったりして、結局「すみません、今月で電気事業から撤退します」となるのです。
そのようなことが起こっても、顧客は電気を使わないわけにはいかないので、次の電力会社を探し契約するまでの一定期間、地域の公共団体などが発電している割高な電力を利用せざるを得なくなるといったことも考えられます。
このように、せっかく得だと思って選んだ電力会社がある日突然潰れてしまって、顧客が大迷惑するといった自体が起こらないとも限りません。
特に工場利用の電気をそのような電力会社と契約してしまった企業は、大きな損害を被ります。
今後、電力会社によってはかなり強引に営業をかけてくることもあるかもしれません。
そういった会社は破綻してしまう可能性が高いと考えられますし、それらが続々と潰れてしまうと、社会的にも大きな影響が出てきます。
既存の大手電力会社が倒産することは考えにくいですが、新規参入して勢いよく入ってきたものの、結局失速してしまうという電力会社が数多くでてくる可能性があります。
したがって、今後は消費者も自分でよりよい電力会社を選択するう目を養っていかないと、電気料金で割を食うだけでなく、生活に大きなダメージを受けるリスクがあるのです。