■フランスの電力自由化とは??■■
フランスでは2000年に電力自由化法が制定されましたが、実質的にはEUの規定により1999年2月から段階的に電力自由化が実施されました。電力自由化が始まった当初は年間消費電力量1億kWh以上の需要家約200軒が対象でしたが、2000年5月に1,600万kWh以上の需要家約1,600軒、2003年2月には700万kWh以上の需要家約3,300軒、さらに2004年7月には産業用・業務用需要家のすべてへと順次対象が拡大されました。そして、2007年7月に家庭用を含むすべての需要家の全面自由化が実現しました。しかし、フランスでは長年規制料金とよばれる制度があり、電気事業で自由に競争などはそれほど活発には行われませんでした。フランスでは全面自由化が始まった後も政府が運営する電力会社が占めるシェアが大きい状態が続いています。この背景には規制料金と市場料金の関係が影響しているのです。規制料金は本来発電などにかかる費用を回収できる水準で設定され、市場競争とは関係ありません。一方、市場料金は、その名の通り市場競争により料金が設定されます。しかし、規制料金の方が市場料金よりも割安となる状態がずっと続いたため、成否が運営する電力会社から他の事業者に乗り換えるお客さんがあまり増えなかったのです。そのため、電力の自由化はほとんど意味をなしていなかったのです。2009年に、フランス政府は大規模な産業用・業務用需要家への規制料金を2016年以降に廃止することを発表し、やっと電力自由化の動きが活発化すると考えられています。
■フランスの電力自由化から学ぶ ■■
では、フランスの電力自由化から学べることはどんなことなのかということについて紹介していきます。フランスでは電力自由化が始めって以来かなりの年数がたちました。ですが、長らく政府の関与が強く残ったことからなかなか競争が進みませんでした。日本でも、電力の自由化によって電気事業の活性化が期待される一方でどれだけ政府の影響力が及ぶのかというような懸念もあります。電気事業が活性化するためには、政府がこの電気市場にはほとんど関与しないことが重要です。フランスでは、政府が関与し、規制しすぎたために電力の自由化が全く進みませんでした。日本は、現在はほとんど政府が関与せず、自由市場を貫いているので、この調子で政府が関与せずに電気事業を見守っていくことが重要です。これからいかに電力の自由化が成功するのかということは、ここにかかっています。