■イギリスの電力自由化とは??■■
イギリスでは、1990年には電力の自由化が行われました。ここからは、イギリスで電力自由化が行われた経緯について紹介していきます。当時イギリスの電力価格が高騰していたことを受け、電力自由化によって市場改革を実現し、消費者の負担を減らすことが目的とされていました。発電と送電を独占していた国営の発送電局が発電会社と送電会社に分割され、同じく国営配電局も民営化されて配電会社となりました。家庭用を含めた全面的な自由化は1999年に行われ、それ以来顧客獲得に向けた各社間の競争がどんどんと進んでいきました。外資企業を含む新規参入が相次ぎ、競争が進むにつれて企業間買収やグループ化が進んでいきました。イギリスの電力自由化の目的は電力卸売価格を低減することにより消費者の負担を減らすことが目的で行われました。電力自由化が行われた初期の段階である1998年から2002年にかけて卸売価格は40%下落しました。ところが、その後しばらく上昇に転じています。というのも、最初に卸売価格が下落したのは新規参入が増えたことによる競争の拡大が主な要因であり、根本的な市場改革が実現したわけではありませんでした。ですので、イギリスの電力自由化が成功したとは言いにくいのです。
■イギリスの電力自由化から学ぶ ■■
では、イギリスの電力自由化から日本が学ぶべきことについて詳しく紹介していきます。イギリスでは、各社間の競争が激化するにつれ、料金メニューが多様化し、内容が複雑になりました。このような状況で、消費者が料金メニューを選びやすくするために多くの電力比較サイトが発達しました。このおかげで、消費者は自分の生活スタイルに合わせた電力会社と料金プランを選ぶことが可能になりました。日本でも、すでに30社ほどが電力の自由化に基づく電力販売市場に参入を発表しており、イギリス同様サービスや料金形態の多様化が予想されます。ですが、電力の値段が下がるのか、それともサービスが下がるのかということには注意してみなければいけません。2016年から始まる日本の電力小売全面自由化によりどのような影響が出てくるかを考えるにあたって、既に電力自由化が進んでいる国々の事例やその歴史から学べることは多いでしょう。日本の電力自由化が成功といえるのか、それとも失敗に終わるのかということは、消費者のニーズと生産者の思惑がいかに一致するのかということにかかっています。