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電力使用量をコントロール?日本でも横浜、豊田などすでに実証実験が始まっているデマンドレスポンスって何?

デマンドレスポンスとは、「エネルギーの供給状況に応じて賢く消費パターンを変えていく活動」のことを言います。
東日本大震災より前は、エネルギー需要に対応して、消費者が必要としているぶんだけエネルギーを供給するというエネルギー政策が行われていました。
しかし、東日本大震災のあとは、ある地域や企業にエネルギー供給を頼りすぎていたことによるエネルギー不足や、システムのもろさが判明したこともあって、電力自由化のタイミングで、この「デマンドレスポンス」を使うことで、需要と供給の均衡を図ろうという流れになっています。

デマンドレスポンスとは一体何者なのか
まず一言で言うと、電力自由化によって利用者側が電気を使う量をコントロールして、エネルギーの需要と供給のバランスを保つことが可能な仕組みをつくっていこうということです。
デマンドレスポンスに関して、電気使用量のコントロールの具体的な方法は2つあります。

(1)電気料金型デマンドレスポンス
電気料金型デマンドレスポンスとは、電気が使われるピークの時間帯の料金を上げることで、電力使用量を抑えるための仕組みです。この方法は、大衆に向けてわりかし楽に実行することができる反面、消費者の動向に結果が左右されやすいため、不確実であるとも言えます。

(2)ネガワット取引型(インセンティブ型)デマンドレスポンス
もう一つは、ネガワット取引型デマンドレスポンスです。これは、電力会社と前もって使用量がピークになる時間帯に節電するという契約をしておき、電力会社から頼まれた分だけ節電することで、電気使用者に対価を支払うというものです。
電気料金型デマンドレスポンスと比べると、契約によるものなので効果が明確に得られやすいメリットがありますが、その契約に手間と時間がかかるため、一般家庭などの小規模の消費者まで節電を浸透させるのに苦労するというデメリットもあります。

豊田でのデマンドレスポンスの実験
中部電力は愛知県豊田市で2012年末から2013年末までの一年間に、約160件の家庭を対象にデマンドレスポンスの実証実験を行いました。デマンドレスポンスは、夏に日中のように電気使用量が急激に増えて電力会社側の供給が間に合わなくなってしまう状況が考えられるときに、電力会社があらかじめ消費者に使用を抑えるようにお願いするもので、それぞれの使用削減量に応じて消費者にキックバックがあります。
今回の実証実験はそれを模したシステムで行われました。1日のなかで電力使用量が最も多くなる13時〜16時の間の料金を高めに設定したプランを作り、その上で電気の使用量が変動することで料金がどれだけ変動するかを、実験対象の家庭にある端末に表示させるというものです。
この実験によって、ソーラーパネルによる太陽光発電を行っていない家庭では、夏や冬などの需要が増える期間に1時間につきおよそ10パーセント、利用を抑えることができるという結果が出ました。しかしながら、実験期間が進んでいくにつれて、デマンドレスポンス自体への興味が次第になくなっていってしまう危険性も確認されました。

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