電力自由化Q&A

発電、電力小売化以外にも、2020年4月には「発送電分離」も実施。その理由と問題点って?

・発送電分離とは

発送電分離とは、文字通り発電施設を管理する会社と、送電設備を管理する会社とを分離させて、別々の事業主体に運営させることです。

電気は、もちろん発電所で作られただけでは、各家庭などで使うことは出来ず、送電線によって現場へと送り届ける必要があります。日本でも諸外国でも、これまでは主に発電所を持つ電気会社が、送電線や変電所などの設備をも管理してきました。

発送電分離をする理由は、電力供給を自由化して、事業者同士の競争によりエネルギー価格を下げる、という意図が根底にあります。

・各国の事例

諸外国では、すでにアメリカやドイツ、フランスなどで発送電の完全分離、または一部分離が行われています。

アメリカでは、1996年のエネルギー規制委員会の辞令によって、オーダー888と呼ばれる送電線の開放が義務付けられています。これによって、送電部門を担当する独立の事業者が誕生しましたが、2000年から2001年にかけて起こったカリフォルニア電力危機によって、様々な問題も浮かび上がっています。

ドイツやフランスでは、各電力会社が送電部門についての会計を独立させるなど、発送電の一部分離が行われています。EUの方針では、今後送電部門に完全独立した会社を設立する方向で改革が進められています。

・日本の現状と課題

このように、各国では発送電分離の一部または完全実施がなされていますが、日本では屋久島での唯一の事例がある他は、発送電の分離は未だ行われていません。

これは、既存の主要電力会社が強行に反対しているためですが、前述のカリフォルニア電力危機の例のように、電気を安定して供給し続けることが出来るのか、という根本的な問題があるためです。
また、新規事業者が送電部門に参入した場合、設備自体の管理を誰が行うのか、といった課題もあります。

効率的なエネルギーの利用、競争原理の導入のために、政府も推進している発送電分離ですが、全面的に実施するためには、まだ解決しなければいけない様々な課題が残されていると言って良いでしょう。
2020年に向けて、日本国内では、電気料金の完全自由化も含めて、総合的な電力の自由化が行われる予定です。

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